近年、個人のゲノム情報に基づいたがん治療(以下、がんゲノム医療)への期待が高まっています。
2018年12月には「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」と「FoundationOne® CDx(F1CDx)がんゲノムプロファイル」という2種類の「がん遺伝子パネル検査」が保険償還され、日常のがん臨床に導入されています。
「がんゲノム医療」には、患者を中心とした社会一般から大きな期待が寄せられていますが、正確な情報提供が十分でないため一定の混乱が生じています。
そもそも医学情報は専門用語で示されるため、一般の方には理解が不十分であることや、テレビ、新聞、SNSを含む膨大な情報や広告の中で、信頼性の高い情報を選別することは困難です。
新しい治療法には常に期待が集まりますが、現行の治療法の中での位置づけや、「どのようながん患者さんに、どこまで効果を期待できるものなのか、あるいは、現時点では達成できないことはなんなのか」を理解することが重要です。
また、「がんゲノム医療」は全世界的にも始まったばかりで、今後の開発、改良に伴い、その適応や期待される効果などの情報はアップデートされることが求められます。
「日本臨床腫瘍学会」、「日本癌学会」、「日本癌治療学会」は、がんゲノム医療の推進を目的として、2018年に「3学会合同ゲノム医療推進タスクフォース」を設立しました。
活動の一つである「社会に対する正しいがんゲノム医療の提供」の実現のために「がんゲノムネット・ワーキンググループ」を組織しました。「よく
わかるがんゲノム医療Q&A」の刊行は、このワーキンググループの活動の一環として、厚生労働省科学研究費(3学会合同「がんゲノムネット」を用いた、国民への「がんゲノム医療」に関する教育と正しい情報伝達に関する研究(H30-がん対策-一般-008))を用いて行われました。
3学会からそれぞれ推薦された「がんの専門家」が、患者、患者家族、一般の方にできる限りわかりやすく執筆いたしました。また、文章は、実際に複数のがん患者会にご高閲いただき、理解しにくい部分を修正しております。今後、随時、アップデートを行うことを計画しています。
日本臨床腫瘍学会 https://www.jsmo.or.jp/
日本臨床腫瘍学会は、がんの患者やその家族及びそのがんの研究者等を対象として、がんの医 療に関する国内外の情報の調査研究、普及啓発を行い、がんに対する診療技術の向上を 促進・振興するとともに、関連団体との連絡、連携を図る事業を行い、もってがんに対 する治療成績の向上を通して、公共の福祉に貢献することを目的しております。
日本癌治療学会 http://www.jsco.or.jp/
日本癌治療学会は、がんの予防,診断及び治療に関する研究の連絡,提携及び促進を図り,がんの医療の進歩普及に貢献し,もって学術文化の発展及び人類の福祉に寄与することを目的としております。
日本癌学会 http://www.jca.gr.jp/
日本癌学会では、癌研究の発達を図り、学術集会や市民公開講座などを開催しております。本ホームページでは市民公開講座のお知らせや学術賞の案内などを掲載しております。
がんゲノムネットは、日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会で運営しています。